トリブラス・テレストリス、エリートラグビー選手で効果なし:5週間試験
抜粋 トリブラス・テレストリスは「自然なテストステロンブースター」として、1か月未満で筋肉を増やすと宣伝されています。そこで研究者はエリートラグビーリーグ選手を対象に二重盲検試験を実施しました。全員が筋力と除脂肪体重の増加を示しましたが、プラセボ群と比べても差はありませんでした。サプリは尿中のT/E比も変化させませんでした。以下に研究内容、限界、そして賢いお金の使い道をまとめます。
サプリ売り場に入ると何が見える?
サプリコーナーのどこを見ても、トリブラス・テレストリスは「たった5〜28日で大幅な筋力と筋肥大が期待できる」と大々的に宣伝されています。では、過酷なシーズン前トレーニングを行うエリートラグビーリーグ選手に実際に試したらどうなるのでしょうか? 何も起きませんでした。糖分を含むプラセボと比べて優位性は全くありませんでした。
この研究は Journal of Strength and Conditioning Research(2007年)に掲載されており、"自然なテストステロンブースター" に手を出す人への現実的なチェックポイントとなります。
主張:1か月以内に大幅な増加
トリブラス・テレストリスはアスリートやウェイトリフター向けに販売されているハーブサプリです。文献では 5〜28日で筋力と除脂肪筋量が大きく増える と謳われています。合法サプリとしては極めて大胆な約束です。
さらに、製造者の中には「トリブラスは薬物検査で陽性にならない」や「尿中テストステロン/エピテストステロン(T/E)比を上昇させる可能性がある」と主張するものもいます。研究者は以下の二つの質問に答えようとしました:
- 本当に筋力と筋肉が増えるのか?
- ドーピングフラグを立てるリスクはあるのか?
研究の設計
サプリメント試験としては以下の点でしっかりしています:
- タイプ:ランダム化二重盲検プラセボ対照、マッチペア方式
- 参加者:オーストラリアのエリート男性ラグビーリーグ選手22名(平均年齢 19.8 ± 2.9 歳、平均体重 88.0 ± 9.5 kg)
- 群割り:トリブラス 11名、プラセボ 11名
- 投与量:トリブラス抽出物 450 mg/日(1回服用)
- 期間:5 週間
- トレーニング:全員がクラブ主催のシーズン前集中レジスタンストレーニングを実施
研究者は、筋力・身体組成(除脂肪体重含む)および尿中 T/E 比を、サプリ摂取前後で測定しました。
結果:全員が強くなったが、トリブラスは無意味
結果のツイストです。5 週間の間に筋力と除脂肪体重は 有意に増加 しましたが、増加幅は両群で同等でした。すなわち、トリブラスを摂取したグループとプラセボグループの間に差はなかった のです。
言い換えれば、得られた成果は重いトレーニングによるもので、カプセルの効果は検出できませんでした。著者らは、トリブラス・テレストリスがメーカーの主張するような「5〜28日での大幅な筋力・筋肥大」をもたらさないと結論付けました。
この結果は、プラセボ対照の重要性を示す典型例です。対照がなければ、トリブラス群だけの改善が製品効果の証拠と誤解されてしまう恐れがあります。
ドーピングに関する疑問:T/E 比は変化なし
2 番目の発見は、薬物検査対象の選手にとって重要です。尿中 T/E 比は 群間差がなかった ことが確認されました。著者は、世界アンチドーピング機構(WADA)の T/E 上限 4:1 を超えるリスクはなく、トリブラスが検査で陽性になる危険性は低いと結論付けました。
これはコンプライアンス面で安心材料になる一方、主な結論を裏付ける形でもあります。T/E 比が変わらないことは、この集団において本質的なテストステロン増強作用がないことを示唆しています。業界全体で問題となるサプリ汚染リスクは別問題であり、本研究の対象外です。
知っておくべき限界
良い科学は、何が分からないかを正直に示します:
- サンプルが小さい:全体で 22 名、各群 11 名。小規模試験は微細な効果を見逃す可能性があります。
- 投与量が一種類だけ:450 mg/日の単一抽出物のみ検証。他の用量や製剤は未検証です。
- 期間が短い:5 週間はメーカーが結果を謳う時間枠ですが、長期的影響は不明です。
- 対象が限定的:若く、エリートで、シーズン前にハードトレーニングを行う男性ラグビー選手。高齢者、女性、トレーニング未経験者では結果が異なる可能性があります。
- ハードトレーニング環境:大きなトレーニング刺激がサプリの微小効果を覆い隠すことがあります。
それでも検証されたのは「数週間で大きな増加が起きる」という 大きな 主張です。研究結果はそれを裏付けませんでした。
あなたへの意味合い
- 投与量・タイミング:本研究では 450 mg/日を 5 週間摂取しただけで、プラセボと比較して効果は見られませんでした。したがって、現時点で推奨できる投与量や摂取タイミングはありません。
- 興味がある人へ:"自然なテストステロンブースター" というラベルに惹かれる方は、本試験が示すように筋力・筋肉増加のエビデンスはありません。ドーピングリスクが低い点は安心材料ですが、購入理由にはなりません。
- 避けるべき人:筋力・筋量・パフォーマンス向上が目的なら、トリブラスはスキップすべきです。特に予算が限られている、あるいはすでにハードトレーニングで成果が出ている人にとっては無駄遣いです。
- 代わりに投資すべきもの:
- クレアチン – 筋力・パワー・除脂肪筋量のエビデンスが豊富
- たんぱく質 – 筋修復・成長に必要な日々の摂取量をサポート
- しっかりしたレジスタンスプログラム、十分な睡眠、総カロリー摂取
この試験が示す通り、一貫したハードトレーニングこそが成果をもたらす のです。両群ともサプリなしで強く、筋肉質になりました。
結論
二重盲検、エリートラグビーリーグ選手22名を対象にした本試験では、5 週間・450 mg/日のトリブラス・テレストリス摂取は、筋力、除脂肪体重、T/E 比のいずれにおいてもプラセボに対して優位性を示しませんでした。投与量が一つだけでサンプルも小さいため最終的な答えではありませんが、過大広告に対する 強い懐疑材料 となります。証拠が確立されたものに予算を回す方が賢明です。